話すことと食べること

近年、在宅高齢者の構音機能(話すこと)と摂食・嚥下機能(食べること)との関連性に関心が集まり、【10秒間に「パ、タ、カ」それぞれを何回発音できるか】という介護保険の口腔機能の評価項目があります。

高齢者の構音機能と誤嚥リスクの関連性を研究した報告によれば、「パタカ」を滑らかに繰り返し発音できる人は食事動作に問題はなく、繰り返し発音できない人はむせ込む・タンがからむ等のトラブルが多いと推測されています。声を作り出す声帯は、同時に安全に食べ物を呑み込むための機能(声門閉鎖)も果たしているからでしょう。

昨年の北日本新聞記事によると、モチをのどに詰まらせて亡くなった65歳以上の661人(2018・2019年、消費者庁調べ)のうち、男性は477人(72%)、女性184人(28%)。圧倒的に男性が多く、このデータを分析した専門家は、女性は高齢になってもよくしゃべり、口を動かすので嚥下機能がいつまでも保たれるためではないかと述べています。

たまには呪文のように「パタカ、パタカ、パタカ」と繰り返してみませんか。

言語聴覚士