ヒトの鼻は、「自分の口臭には気づきにくいが、他人の口臭は気づきやすい」構造になっている。さらに、口臭がある人に対して、たとえ家族であってもそれを指摘することには遠慮や心理的抵抗があり、そのまま放置されてしまうことが多い。口臭がひどい場合、むし歯や歯周病、あるいは糖尿病、消化器系のガンなどの病気が原因である場合もあり、放置しないで医療機関を受診することが望ましい。
口臭には、①生理的口臭(健康な人にも)、②外因的口臭(タバコ、酒、ニンニクなど)、③病的口臭(むし歯、歯周病、口腔以外の病変)がある。高齢者で義歯を装着している場合、義歯の管理がうまくできていないと義歯特有の口臭、さらに、舌苔(舌の表面の粘着物)由来の口臭もあるので注意が必要である。
口臭の除去法に特効薬はないとされるが、食後のうがい、歯ブラシによる歯磨き、義歯の清掃、舌苔の除去などの機械的清掃が最も効果的であり、必要に応じて、適時、消臭剤を使って口腔内を清潔に保つことが大事である。
言語聴覚士