認知症を伴った高齢者の転倒とその予防

認知症の高齢者は体に麻痺がなくても転びやすいです。

理由は様々ですが、①加齢による下肢筋力、バランス機能の低下、②脳の病変による運動機能障害、③認知症特有の行動面の問題(突発的な行動など)、④服用薬の副作用(めまい、ふらつき)、など複合的な要因が重なるためです。

認知症高齢者の転倒リスクは健常高齢者の約8倍。転倒すると頭部・顔面の打撲や手足の骨折など、重篤な症状を呈することが多く、しかも受傷からの回複率が低いために寝たきりになるリスクが高くなります。

転倒の要因は、①内因性リスク(本人の心身の問題)、②外因性リスク(生活環境的要因。室内の段差、傾斜、滑りやすい床面など)に大別できます。

在宅の方の転倒予防を考える場合、まず外因性リスクの見直しが必要です。たとえば、トイレでの転倒要因は床面の濡れ、狭い空間での衣服の上げ下げ、便座への着座・立ち上がり、方向転換などがあり、それらの動作を阻害する要因がないか、あらためてチェックしてみましょう。浴室では滑りにくいマットを使用し、浴槽へのまたぎなどの入浴動作の安全性を確認しておくことが重要です。

転倒が契機となってQOL(生活の質)が急変することがないよう、日頃からの家族の見守り・目配りが大切です。

言語聴覚士

冬の肩こり・首こり

本格的な寒さが続く冬がやってきました。寒くて厚着を重ねがちな冬は、身体がこわばって肩こりに悩む人が増える季節でもあります。

寒さによって筋肉の血流が悪くなり、新陳代謝が落ちることで疲労物質が溜まり、筋肉が硬くなります。それが血管を圧迫することで血液の循環がさらに悪くなり、こり感や痛みを引き起こします。肩こりが起こる部位には個人差があり、頭から首のつけ根、首すじ、背中、肩の関節周辺と多種多様です。

【肩こりの改善・予防法】

①筋肉の緊張をやわらげる…お風呂に入って身体を温めてリラックスしたり、蒸しタオルを当てて肩を温めたりすることなどは、筋肉の血流を改善して緊張をやわらげるのに効果的です。

②十分な睡眠・栄養をとる…肩こりの予防で最も大切なのは、睡眠時間を十分にとること。肩こりがひどくなると、睡眠の質に悪影響を与える可能性があります。

③同じ姿勢を長く続けない…寒い季節ではありますが、重ね着は避けて、動きやすい服装を心がけてください。そして、適度な運動によって気分転換をはかりつつ身体を温め、筋力を強化しましょう。

介護職

 

暑くなくても隠れ脱水に注意!

【隠れ脱水とは…?】

脱水症は進行するまで、これといった症状が出にくいのが特徴です。脱水症になりかけているのに、本人や周囲がそれに気づかない為、有効な対策が取れていない状態を「隠れ脱水」と呼びます。

【こんな症状に注意!】

①意識が薄くなり、ボーっとしている

②爪を押して、色が白からピンクに戻るのに3秒以上かかる

③唇や皮膚が乾燥している

【予防、対策のポイント】

①1日3食食事を摂取

②こまめな水分補給

③無理せずに休憩を取る

【正しい水分補給のタイミング】

①起床時、就寝時→コップ1杯(200㎖)以上

②運動中や前後→こまめに15~30分おきに、塩分も一緒に摂取

③入浴前後→前にコップ1杯、後には1杯以上

④飲酒時→飲酒した量以上に水分摂取

何もしなくても、1日に失われる水分量は約2000㎖ほどあり、食事以外の時間帯で1000~1500㎖以上の水分が必要不可欠です。

水分をあまり摂取しない人は脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるので、こまめな水分補給を心がけましょう。

運動指導員

コロナ渦だからこそ笑顔を!

「笑う門には福来たる」は、脳科学的にも正しいです。つまり、いつも笑っている人は長生きし、いつも怒っている人は早死にしやすいということです。

山形大学の健診データをもとにした、笑う頻度と死亡・病気のリスクを分析した研究によると、ほとんど笑わない人はよく笑う人に比べて死亡率が約2倍高く、脳卒中や心血管疾患の発症率も高い結果でした。

笑うことで心と身体に良い脳内物質が分泌され、ストレスホルモンは抑制されます。その身体的・社会的効果は次の4つです。

①身体の健康として、免疫力が活性化し、 血圧が低下し寿命が伸びます。
②心の健康として、リラックス効果やストレス軽減効果があります。
③脳のパフォーマンスは、注意力・集中力・記憶力が上がります。
④社会生活として第一印象が良くなり、ビジネスもうまくいき、人間関係が向上します。

さらに笑顔の効果は、心から楽しくなくてもつくり笑顔でも、ほぼ同等の効果が得られることが大学の研究で証明されています。

新型コロナによるパンデミックになってから早2年半。心の健康、社会的つながり、生活満足度が大幅に低下していると報告されています。この難局をぜひとも笑顔で乗り切りたいですね。

看護師

認知症を理解しよう

本人が、「自分は認知症ではないか」と気づくのが早いか、家族が気づくのが早いか、いずれにしても今まで当たり前にできていたことが困難になって日常生活に支障をきたす事態は深刻である。物忘れがひどくなり、家族・知人の名前が思い出せない、大事な物をどこにしまったか忘れた(しまったこと自体忘れている)、などさまざまな症状が本人を困惑させるのが認知症である。

認知症には、①記憶障 害が主症状であるアルツハイマー型認知症、②発病初期には記憶障害は目立たず、“赤い虫がたくさん見える“といった幻視や歩行障害を特徴とする「レビー小体型認知症」、③人格障害、社会的なルール無視(コンビニの商品を勝手に持ち帰る、店内で食べる)を特徴とする「前頭側頭型認知症」、④脳血管障害が原因である脳血管性認知症などさまざまな特徴をもつタイプがある。

認知症治療は早期発見が重要とされるが、本人や家族が認知症を疑いつつも、医療機関や行政の相談機関を訪れるまでに一年以上かかるという報告がある。まずは早めにかかりつけ医に相談、本人の納得が得られるならら「物忘れ外来」「神経内科」を受診し、その後の対策を考えるべきでしょう。

言語聴覚士

フレイルについて

日本は世界最長寿国です。しかし、健康寿命と平均寿命には差があり、このギャップを縮めることが超高齢者社会日本の課題と言われています。そのような中、生活機能障害を招き、健康寿命の妨げになる危険性が高いものとして、「フレイル」や「サルコペニア」が近年注目され、皆様も耳にすることが増えたのではないでしょうか。

フレイルとは、虚弱を意味します。基準は5つあり、①体重減少②疲れやすい③歩行速度の低下④握力の低下⑤身体活動量の低下が挙げられます。このうち3項目以上に該当するとフレイルと判断されます。サルコペニアとは、加齢による筋肉量の減少および筋力低下を指します。65歳以上の高齢者の15%程度がサルコペニアに該当すると言われています。

フレイルやサルコペニアが進行すると、運動機能障害・身体機能を低下させ、要介護状態に繋がる可能性が高くなります。予防法としては、栄養、運動が大切です。まずは、1日3食バランスよく食べ、日中は少しでも動くように心がけ、夜はしっかり寝るという生活リズムを整えましょう。自治会活動や地域の行事に参加することも良いでしょう。感染対策は忘れずに。
理学療法士

質の良い睡眠を取るために

新年度も始まり、新しい環境の中なかなか眠れない方、いませんか?今回は「睡眠」についてお話をします。日本人は世界で一番睡眠時間が短く、多くの人が不眠で悩んでいるそうです。不眠はホルモンの分泌や自律神経の乱れ等にも影響を及ぼすと言われ、生活習慣病にも大きく関わっています。では睡眠の質を上げるにはどのような点に気をつければ良いのでしょう。
①日の光を浴びる。快眠の為に朝カーテンを開け部屋に日の光を入れましょう。
②運動も適度に。ラジオ体操や散歩等少しでも体を動かしましょう。
③3食しっかり摂取する。
④寝る直前は食べない。満腹の状態で寝ると眠っている間も胃が働き夜中に目が覚め睡眠の質が低下します。
⑤寝る直前のお茶やコーヒーは控える。カフェインによる覚醒作用は4時間程続きます。
⑥寝酒は控える。寝る直前お酒を飲むと寝付きが良くなるという方もいますが眠りを浅くする作用があると言われています。
⑦寝る前のパソコンやスマホの使用は控える。ブルーライトは脳を覚醒する作用があるので控えめにしましょう。

質の良い睡眠を得るため出来ることから始めてみませんか。
看護師

季節の変わり目の健康管理

だんだんと春らしくなり、桜も満開を迎えた今日この頃ですが、この時期は季節の変わり目で体調を崩しやすい時期でもあります。

その大きな原因として、ストレスや寒暖差による自律神経の乱れが挙げられます。自律神経とは、主に昼間や活動時に作用する「交感神経」と夜間やリラックスしているときに働く「副交感神経」があります。この二つの神経のバランスが崩れると疲れやだるさを感じたり、眠気が強くなったりと様々な不調を引き起こします。

これらの症状を予防するためには日頃の体調管理を大切に行っていく必要があります。まず、食事はしっかりとバランスよく摂ること。偏った食生活は自律神経を乱してしまいます。

二つ目に適度な運動を心がけること。運動をすることでセロトニンという自律神経を整えるホルモンが分泌されます。特にウォーキングなどの有酸素運動が効果的です。

そして最後に睡眠をしっかりととること。質の良い睡眠には、副交感神経が優位に働き、心身をリラックスさせることが重要です。首元や目元にホットタオルを当てるなど、就寝前のひと工夫をぜひお試しください。

ほんの少しの心がけを大切にこの時期を元気に過ごしましょう。

介護士

花粉症との付き合い方

マスクやメガネで毎日しっかり花粉対策していても症状がつらい、そんな方は気づかないうちに花粉症の症状を悪化させてしまっているかもしれません。
睡眠不足になっていませんか?花粉症の症状が出始めると寝つきも悪くなるので、寝室の掃除はこまめにし、床の上や布団も掃除機掛けをします。ベッドにも花粉がたまっているので、枕まわりの1mぐらいをウェットティッシュなどで拭きましょう。寝る前にはお風呂で花粉をしっかり洗い流してから布団に入るようにして、空気清浄機を使い、ぐっすり眠るとよいでしょう。
睡眠が足りないと免疫やホルモンバランスを崩しやすくなり、花粉症の症状を悪化させる原因になってしまうことがあります。規則正しい生活のリズムをつくりましょう。
ストレスも花粉症の大敵。日頃から趣味やスポーツでストレス発散を心掛けていき、少しでも花粉症を楽に乗り切る習慣を身に付けていきましょう。

看護師

幸せホルモン「セロトニン」

セロトニンは心のバランスを整える作用のある脳内伝達物質で、心と体を安定させ、幸せを感じやすくさせる働きがあります。そのため、セロトニンが増えると精神的な安定が得られることから「幸せホルモン」と呼ばれています。
セロトニンを増やす方法としてまず、日光を浴びること。日光が網膜を刺激してセロトニンが活性化されます。朝目覚めたら日光を浴び、1日10~30分程浴びることが望ましいとされます。
次にリズム運動。特別なものではなく、歩行、呼吸、咀嚼といった日常生活レベルの運動です。毎日継続できる日常生活レベルの運動を5~30分集中して行なうことがポイントです。散歩、ヨガや歌を歌う、ガムを嚙む等は手軽に実践できると思います。
現代ではスマホや夜更かし、運動不足などセロトニンが低下しやすい生活環境となっています。心の健康に気遣い、幸せホルモンを増やす生活習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。
理学療法士